「むち打ち症」とは
いわゆる「むち打ち症」とは
「交通事故でムチウチになった。」と耳にすることがありますが、「むち打ち症」とはなんでしょうか?
「むち打ち症」は、「ムチウチ」「鞭打ち」などと言われることもありますが、正式な傷病名ではなく、交通事故で首が鞭(むち)のようにしなったために起こる症状を総称したものです。
多くの方は次のような傷病名が診断され、様々な症状が出てきます。
【代表的な傷病名】
頚椎捻挫 バレリュー症候群 外傷性頚部症候群
頚部挫傷 頚椎椎間板ヘルニアなど
【主な症状】
首の痛み 肩の痛み・コリ 背中の痛み
手・腕の痛み・しびれ 頭痛・めまい・耳鳴り・吐き気など
これらが治療によって改善し治癒に至れば良いのですが、概ね半年以上治療を継続しても治癒に至らない場合、医師と相談のうえ症状固定と診断され、自賠責保険に対して後遺障害の申請を行うことになります。
「むち打ち症」は、手や腕を失った場合や失明した場合と異なり「目に見えにくい症状」であるため、保険会社はおろか周囲の人たちにも理解されないことがあり、また、後遺障害として認定されにくい(非該当の)傾向にもあります。
しかし、「むち打ち症」でも後遺障害として認められることがあり、その際には主に後遺障害14級9号または12級13号が認定されます。
14級9号「局部に神経症状を残すもの」
医学的に説明可能なもの。他覚的な所見がないものの、受傷態様や治療経過、症状の持続などにより症状の残存が認められるもの。
【14級9号「局部に神経症状を残すもの」と判断された理由】
しかしながら、受傷態様、治療経過等を勘案すれば、将来に於いても回復が困難と見込まれる症状と捉えられ、「局部に神経症状を残すもの」として別表第二第14級9号に該当するものと判断します。
しかしながら、前記画像所見、受傷状況、長期にわたる治療にもかかわらず症状が遺残していることなども勘案すれば、将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられることから、「局部に神経症状を残すもの」として別表第二第14級9号に該当するものと判断します。
12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」
医学的に証明可能なもの。自覚症状が神経学的所見、画像所見等他覚的な所見と整合するもの。
「むち打ち症」が後遺障害として認定されにくい傾向にあることは事実ですが、「むち打ち症」であることを理由に後遺障害がすべて否定されてしまうわけではないことをご理解頂ければと思います。